点と点は、いつか線になる。
そんな、スティーブ・ジョブズ氏の有名な演説がある。
ジョブズの演説を引き合いに出すような偉大な話では全く無いのだけれど、点と点が繋がって、僕にとっては思ってもない、奇跡のような展開になった話がある。
きっかけを思い出す事ができない。
いつどこで、どんなタイミングで手に取ったのかすら、記憶にない。
いつの間にか家の、僕の本棚にあった。
たしかに、自分で買ったはず。
そんな曖昧な本に、ここまで感謝することになろうとは思いもしなかった。
「猫ピッチャー」というマンガがある。
作者は「そにしけんじ」さん。
プロ野球界初の猫野球選手が誕生、という触れ込みでこの物語は始まる。
この本を独身時代に買った気でいるのだけど、初版は2014年。既に結婚して子供も産まれていた。それほどまでに、記憶が曖昧だ。
内容はコメディがベースでありながら、野球についての専門知識も入りつつ猫ピッチャー「ミー太郎」を中心に物語が進んでいく。
ミー太郎と個性ある登場キャラ達とのやりとりが、絶妙な面白さにつながっている。
そんな猫ピッチャーは、購入後しばらくすると、我が家の本棚の奥で眠っていた。
僕は、ミーちゃん(ミー太郎の愛称)をLINEやFacebookの顔写真に採用させてもらいながらも、本はしばらく読まずにいた。
そして、6年の歳月が過ぎた。
この頃、息子に野球の基礎を教えてみたものの、僕の熱心さがスパルタ化してしまい、息子が野球から遠ざかっていた。
日本史好きの息子は色んな本を読むのが好きだった。キャッチボールに誘っても読書となり、外遊びの際も野球という選択肢はなくなった。
野球はあまり好かれなくなり、家庭全体が野球と距離を置いて暮らすこととなる。
とても悲しいが自業自得と捉えて、息子が野球を選ばない未来も覚悟した。
そんな時、ねこねこ日本史というアニメがAmazon primeに収録されていたことがきっかけで、子供たちがねこねこ日本史にハマりだした。
デフォルメされたライトな歴史ストーリーがギャグを織り交ぜてあり、面白い。
アニメをきっかけに実際の歴史はどうなのかという、子供たちの深い興味に繋がっていた。とても良い傾向だった。
そして、子供たちはマンガ本まで欲しがるようになった。
これは良いことと思い、マンガ本を買ってみたところ、そこで初めて気づいた。
そにし、けんじ。
この作者、知ってる。と。
ここで、再び猫ピッチャーを思い出す。
しかし、猫ピッチャーが見つからない。我が家にあるはずなのに、見つからない。
「ねこねこ日本史のそにしけんじが書いた猫ピッチャー、うちにあるよ」と、子どもたちに高らかに宣言して、見つからなかった。
子供たちの猫ピッチャー熱は日に日に高くなり、親としてウソをついた様な体になってしまうことは避けたい。いよいよネットで購入することとなる。
そして、子ども達に猫ピッチャーを渡してみた。
大ウケだった。
2巻までしか買っていなかったため、急いで追加購入。
とりあえず5巻まで揃えた。
引き続き、大ウケだった。
そこから程なく、子どもとキャッチボールをする機会を得ることとなる。
そこで息子は、衝撃的な行動にでた。
グラブを持った左手を使い、遠心力を使って投球したのだ。
理由が凄い。
「猫ピッチャーに書いてあって、こうやると球速が上がるから」
教えても全くやらなかったのに、猫ピッチャーに書いてあることは取り入れる。
僕は、格段に良くなった息子の投球フォームを褒めまくった。
すると今度は、キャッチャーをやって欲しいとお願いされた。
その通りやってあげると、楽しそうに投げ続けた。
そして、翌日もキャッチボールに誘われることとなる。
更に翌日も。
今、息子は野球が楽しいに変わりつつある。
投げるのも、打つのも楽しいと言っている。
あの日あの時買ったであろう、猫ピッチャー。
いつ買ったのか思い出せないけど、息子を野球に振り向かせてくれた猫ピッチャー。
猫ピッチャーが無ければ、この道は選択されていなかっただろう。
ありがとう、猫ピッチャー。
余談で、Twitter企画の猫ピッチャーノベルティプレゼントキャンペーンに応募したところ、当選頂きました。
娘も猫ピッチャーが大好き。
色んな点が、線になったという気がしている。
猫ピッチャー、コネクティングドット。
僕ができる事があるならば、何でも言って欲しい。微力ながらできる事はしたい。
本当にありがとう、猫ピッチャー。
忘れた頃に、昔買った猫ピッチャーが出てきたので、我が家には1巻が2冊ある。
ひとり1冊、猫ピッチャー。
一家に2冊、猫ピッチャー。