娘が、小学校に入学した。
少し前まで、僕が幼稚園の残像をひきずっていた。
可愛らしく、平和な幼稚園生活。
もうしばらく、娘は幼稚園児でいて欲しいなと思うところがあった。
その気持ちとは真逆で、娘は過去を引きずらないタイプのようだ。小学生になる気マンマン。小学校には幼稚園の同級生が誰も行かないのに、期待と希望に満ちていた。
なかなかのメンタリティだ。
新しい環境変化を楽しむという事は、言う以上に難しい。
こうありたい(娘の場合は小学生になる)という姿が明確だと、それ以外のことは、些細なことでしかない。
イレギュラーも、誤差程度のことなのだ。
長いような、短いような幼稚園生活が終わり、春休みも過ぎた。
小学校の入学式も、感染症対策ということで時短開催だった。しかし、教室は密だった。
そこについては、色々と言っても仕方ない。
マスクしてるし、食事している訳でもない。ましてや密閉されたボックスで、全力でリンダリンダを歌い、そのマイクを使い回している訳でもないからだ。
おそらく、そういうものなのだろう。
見習うべきマインドを持つ我が娘。
式も午前中で無事に終わり、自宅に戻ったのちに午後、散歩をした。
僕と娘は会話が盛り上がり過ぎた。
ちょっとした遊びも加えたので、娘ははしゃいでいた。
前を全く見ないで歩き、道路脇にある下水の溝に、ストーンと、体ごと落ちた。
道路があると思って、そのままマンホールに落ちるみたいに、ストーンと行った。
それは、ドリフのようだった。
「あっ!」と、手を出そうとするその刹那、もう間に合わないと思う僕の目は、
直角に落ちていく娘の軌道を、ただ見つめるばかりであった。
靴とズボンはビショビショだけど、
幸い太ももの擦り傷だけで済んだ。
娘には申し訳ないけど、しばらく笑いが止まらなかった。
だって、道路の側溝にですよ。
道があると思ってストレートに落ちていく人なんて、見たことない。
それが、こんなに身近にいるなんて!
目の前でそんなことが起こるなんて!
忘れられない思い出とは、こういう事の積み重ねだ。
父は幸せです。
入学おめでとう。