営業して会社に戻る途中のことだ。
お昼ご飯はお弁当にすることにして、ほっともっとに寄った。
11時40分くらいだったので、お昼前。
お店に入るとオーダー待ちのお客さんは居なかった。
カウンター越しに店員さんが現れて、僕の注文を待つ。メニュー表を見つめる、僕。
この間で「早く決めなきゃ、店員さんに迷惑をかける」と考えてしまう。
僕は即決なので、迷惑どころかテンポが良いと勝手に思っているのだけど、元来は早く決めなきゃと考えるタイプだった。
この種の人間は、心理学的にどういった傾向があるのか、自分を知るという意味で聞いてみたいところだ。
蛇足だけど、僕は大学時代にテニス歴がある。
テニス初心者だったので、本を買って勉強した中に松岡修造さんの本もあった。
今や芸能界、バラエティー番組などで名を馳せる同氏は、当時からテニス界のカリスマであった。
本はとても参考になったのだけど、その中に
「食事の注文は、お店に入って5秒で決める」
というのがあった(確か5秒)。
テニスはラリーの応酬だ。
相手がショットを打ち、自らにボールが来て打ち返すまでの間が、3、4秒くらいしかない。
その間に、どのコースに、どんな球を、どんな強さで打ち返すのか決める。
その訓練のひとつに「注文は5秒で決める」があった。
そのおかげで、僕は食事のオーダーを概ね5秒くらいで決めるクセが、今だについている。
そんなわけで、注文に戻る。
唐揚げ、ハンバーグという気分ではないので、天丼とガパオライスで悩んだ。ご飯にドーンと乗っかっているものをご飯にまぜまぜするよりは、上に乗ってて、ご飯おかずで食べていく醤油味がいいなと思った。
僕の今日の選択根拠は、しょうゆ味だ。
春の天丼祭り的な事が書いてあったので、天丼和風だしをオーダーした。
すると、和風だしが切れていて、塩ダレしかないとのこと。
・・・想定外だ。
変更オーダーによる、店員さんの心象を考えてしまう。
天丼からガパオライスに変えるとなると、そもそも天丼を何故選んだのか?となる。
ロコモコなども然りで、大分逸れているし、関連性が薄い気がする。
天丼→唐揚げの方がまだアリなのだけど、唐揚げを食べたいとは思えなかった。
あんまり間を空けると、店員さんに対して何だかバツが悪い。
結果、塩ダレ天丼にすることとなる。
「560円になります。すぐお出しできます。」と言われた。
お金を払って、2秒で出てきた。
本当に、2秒だ。
僕が天丼を選ばなければ、どうなっていたのだろうか。恐らくもっと時間がかかったのだろう。
僕がお店に入り、オーダーをするのが5秒。
和風ダシが無いからという事で選び直して、10秒。
お金を払って、ほっともっとポイントカードがどうとかで30秒。
1分かかってないのに、お弁当が完成していた(ちゃんと温かい)
作り置きなのか、先行の持ち帰りオーダーがあったので差し替えたのかはわからない。
結果、オーダーして1分でお弁当が手元にある。
外食の利点のひとつに、時間を買っているという点もある。天丼の食材を用意して、衣を付けて揚げる。ご飯を盛って乗せる。
僕はその時間を使って、ご飯を作るとは違うことに取り組む。
560円を高い価値として使えた日だった。