週末の金曜日。
天気も良く、絶好の仕事日和だった。
朝から信州某所で納品があり向かう。
僕が取り扱っているある主力商品の納品だったのだけど、1ヶ所に2台づつ、4台を納めた。
1日に4台はまあまあ労力。
大体1台1時間としても、4時間。
搬入とか搬出もあるので、それもまたそれなりに。2階にも持っていったので、これもそこそこ時間が。
納品自体は慣れたモノなのでテキパキやった。
それは良いのだけども。
労働しながら思うのは、ヘトヘトにやり切った自分へのご褒美のことだ。
今日は週末だし、4台も納めたし、帰ったらビールでも飲みたい。
いや、飲もう。
いやいや、飲む。今日のビールは美味しいだろうなァ。ということ。
家に帰ると、先にみんな食事していて、夕飯も終盤に差し掛かっていた。僕もスーツを着替えて食卓に着く。
で、ビールをと思ったのだが。
妻からストップが入る。
平日にお酒は違反だと。
僕は、平日にお酒を飲まないと宣言しているから、正論だ。妻が合っている。
今日は平日というより、週末なのだが・・・という無茶な理論は通る訳もない。
グッと堪えて、二つ返事で「わかった、飲まない」と言って、ビールを冷蔵庫に戻した。
妻は当然、僕の身体を気遣ってくれている。それを有難いと思う気持ちは強い。
でもね、今日のビール、美味しいビールを支えにして家にたどり着いて、お預けはツラい。
抜いた刀を鞘に収める、このツラさ。
この、水を飲んで体を潤しても、喉の奥、胃の奥、体の芯。
乾いた感覚が消えないのだ。
そしてこの我慢で思う事は、
ひょっとしたら、アルコールは乾いた身体だけでなく、心を潤すのかもしれない。
飲みすぎると心と体は疲弊するけど。
お酒に限らず、「こうしたい」ということを延期したり中止したりするというのは、結構ツラい。人は欲があるから、欲が満たされないと本当にシンドい。
そして期待値が高いほど、テンションの下がり方も大きい。
他人事として考えると答えは簡単だ。
切り替えて行こう、という一言。
自分の心持ちだけの問題でしかない。
ビールは家族で飲みたいのは僕だけであり、期待したのも僕であり、そもそもルールを逸脱した期待を持つ事がおかしいのだ。
正しい、ルール通り、正論であってもお預けや延期、中止は存在する。
この時にスパッと切り替える事ができるメンタルが備えられていると、良いな。
それは、なんとなくこうかな、と考えた。
違う興味ある事をすること。
一緒にいる人を笑わせること。
違う想像を膨らませて実行すること。
今のところ、忘れて紛らわすという事しか思い浮かばなかった。
欲が満たされないと感情が敏感になるけど、これはほとんど八つ当たりに繋がるという事だけは良くわかった。
腐らなければ、想いはきっと叶う。